そのため、熱電対の種類に合わせて専用の補償導線を使用する必要がある。
ちなみに、熱電対とほぼ同等の熱起電力とは言っても、同等なのはその補償導線の使用温度範囲(補償接点温度)内に限られる。
補償導線に、熱電対と同じ金属材料を使用している場合もあるが、その場合でも、使用温度範囲を超えても熱電対と同等の正確さで、熱起電力特性を示すわけではない。
なお、熱電対と同様に、補償導線についてもJISに規定されている。
※K型熱電対の場合は…
+極線
クロメル
-極線
アルメル
温度範囲
-200℃~1000℃
となっている。
そもそも、なぜ熱電対を計測器に接続するときに、補償導線を使う必要があるのか。
それは、熱電対を直接計測器に接続しようとすると…
* 熱電対素線が細い、または単線で太いので接続が難しい。
* シースタイプ熱電対では、絶縁して素線を取り出して接続するのは困難。
* コスト面で、熱電対は短くしたい。
というような問題が発生するからである。
そこで、熱電対と計測器の間を、通常の導線のように手軽に扱うことができる補償導線で接続するのが一般的。
補償導線を使用しない悪い使用例として、例えば、電装ボックス内に温度調節器を取り付ける場合など、熱電対を接続する端子台から温度調節器までの間を、通常の電線にしてしまう場合があります。
熱電対と補償導線の接続点(補償接点)と、計測器への接続点(基準温度接点)が同じ温度なら、計測温度にズレは生じないが、実際には、離れていたり、計測器の発熱などで2つの点には温度差がある。
例えば、基準温度接点が25℃、補償接点が20℃なら、実際の温度より5℃高く計測される。
また、補償導線を使用する場合でも、熱電対が短い場合も問題が発生します。
例えば、熱電対が補償導線より極端に短かく、
測温接点=120℃、補償接点100℃、基準温度接点=20℃
となっている場合を考えると、熱電対が受け持つ熱起電力は20℃分で、残りは補償導線が受け持っていることになり、計測温度には、熱電対より補償導線の性能が大きく影響してしまいます。
補償接点の温度が、補償導線の使用温度範囲を超えてしまうと、補償導線は熱電対と同等の熱起電力ではなくなるので正しく計測できず、接続部での断線などで計測不能になることもある。
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